【今すぐ活かせる!】絵本の読み聞かせの効果にまつわる研究・科学的根拠

ママとしての戦い
悩む人
悩む人

絵本の読み聞かせがいいとは聞くけど、何にどのくらいの効果があるんだろう。
効果が分からないことをむやみやたらにしたくないなぁ。

悩む人
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感想ではなくて、調査や研究といった数値的に優位性が示された科学的根拠のある事がしりたいな。

ぺんまま
ぺんまま

こんにちは。ぺんままです。

今日は国内・海外で行われている絵本・本の読み聞かせの効果にまつわる研究・科学的根拠をご紹介します。

本・絵本と様々な能力との関連性は世界中で研究が行われ様々な効果が発表されています。どんな効果があるのか、ぜひ理解したうえで今日からの子育てに活かしてもらえれば幸いです。

読み聞かせの効果(子供)に関する研究

読書習慣がつく→様々な学力が向上する

本と学習についての研究は世界中広く実施されています。

様々な研究を見ていくと、幼児期の読み聞かせがその後の学習に与える影響としては、幼児期の読み聞かせによって本が好きになること、その結果読書の習慣が付き、習慣化によって読書量が増え、読書量が増えると様々な範囲での学力向上に役立つというようなサイクルがあるように見られます。

ぺんまま作成

以下、様々な研究についてご紹介していきます。

文部科学省による『平成28年度全国学力・学習状況調査』では、小学生・中学生の国語と数学のテストに対して「読書は好きですか」という質問をクロス集計させた結果が公開されています。結果によると、読書が好きであれば好きであるほど国語や数学の成績が高い傾向があるということが示されています。

イギリスのThe Centre for Longitudinal StudiesのAlice Sullivan教授やMatt Brown教授による6,000人を対象に研究では、

Reading for pleasure has been found to be linked to greater progress in spelling and mathematics skills

https://cls.ucl.ac.uk/wp-content/uploads/2017/06/Readingforpleasurestoppress.pdf

つまり、読書を楽しむことがスペリングや計算スキルの飛躍的な向上につながるということを示しています。さらに

the impact of reading for pleasure on progress in vocabulary, arithmetic and spelling between the ages of 10 and 16 to be four times greater than the impact of having a parent with a degree.

https://cls.ucl.ac.uk/wp-content/uploads/2017/06/Readingforpleasurestoppress.pdf

語彙力、算術、スペリング力の向上に対する読書を楽しむことによる影響は、親が大学を卒業している(親の教育レベル)ことの影響よりも4倍も大きな影響がある(10~16歳)ことが示されています。

文部科学省による『親と子の読書活動等に関する調査』の「保護者の支援が子どもの読書活動へ及ぼす影響」項目では、読み聞かせをしている期間の長い(年齢・学年が高くなるまで読み聞かせを行った)児童・生徒の方が一か月の間に読んだ本の冊数が多くなるということが分かっています。

Benesse教育総合研究所の『幼児期から小学1年生の家庭教育調査 報告書 [2012年]』の「第3章 母親のかかわり」における調査では、
子どもへの読み聞かせ頻度が高く、時間が長いほど、子どもの1人読みの頻度も高くなるという結果が分かりました。
つまり、親による読み聞かせによって、子供の読書習慣がつくということが示されています。

引用元:Benesse教育総合研究所の『幼児期から小学1年生の家庭教育調査 報告書 [2012年]』の「第3章 母親のかかわり

語彙力が増える

東北大学加齢医学研究所所長で最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる (青春新書インテリジェンス)著者の川島隆太教授の研究によると、
3歳から6歳までの平均4歳半程度の子ども達に対して読み聞かせによる語彙力の発達についてのテストを行ったところ、およそ2カ月で6カ月相当の語彙の伸びが見られ、
読み聞かせをするほど言語発達は促進される*ということが分かりました。

*最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる (青春新書インテリジェンス)

聞く力が伸びる

こちらも東北大学加齢医学研究所所長で最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる (青春新書インテリジェンス)著者の川島隆太教授の研究によって、
集中力を要する聞く力のテストを行ったところ、読み聞かせを行ったおよそ2カ月でテストの平均点が10以上も向上し、読み聞かせによって聞く力が向上する*ということが示されています。

*最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる (青春新書インテリジェンス)

川島教授は『最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる 』のなかで、読み聞かせを行った際の子どもの脳の活発に動いている部分に着目しています。読み聞かせによって、コミュニケーションの中でも特に「聞く」ことに関係する側頭葉感情や記憶に関わる大脳辺縁系が活発にはたらいていることを指摘しています。さらに、2003年のAhmad教授の研究をふまえ、単なる音声ではなく近しい大人の心のこもった読み聞かせが側頭葉や大脳辺縁系を活性化させることに役立つと考えられています。

主体的行動力を高める

国立青少年教育振興機構による『子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究(令和3年3月発行)』のなかの「第4章 読書媒体および過去の読書量による現在の意識・非認知能力の違いの検討」では、紙媒体か、スマートフォンかパソコンかなど何かしらのツールを利用して読書を行っていることによって、自己理解力や批判的思考力、主体的行動力が高いことを明らかにしています。

また、類似研究により、20代・30代は、子どもの頃の読書活動の充実が、直接的に現在の意識・非認知能力を高めること、40代・50代は、直接的な関連に加えて成人期の読書活動の充実を通じて現在の意識・非認知能力を高めることを提示しています。

様々な非認知能力が向上する

国立青少年教育振興機構による『子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究 報告書』では、

子どもの頃に読書活動が多い成人ほど、「未来志向」、「社会性」、「自己肯定」、「意欲・関心」、「文化的作法・教養」、「市民性」のすべてにおいて、現在の意識・能力が高い。特に、就学前から小学校低学年までの「家族から昔話を聞いたこと」、「本や絵本の読み聞かせをしてもらったこと」、「絵本を読んだこと」といった読書活動は、成人の「文化的作法・教養」との関係が強い。

https://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/72/File/kouhyouhappyou.pdf

ということがしめされています。

不安やストレス、痛みを和らげ、問題行動を減らす

米国科学アカデミー紀要に報告され、ブラジルのサンパウロにあるABC連邦大学で情動と学習を研究しているGuilherme Brockington教授による研究では、
読み聞かせによってストレス関連ホルモンのコルチゾールが下がり,共感に関連し快感ホルモンともいわれるオキシトシンが増え*、ストレスの緩和に役立つことを見出しました。

*日経サイエンス『入院中の子供の痛みとストレスを和らげる』

東北大学加齢医学研究所所長で最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる (青春新書インテリジェンス)著者の川島隆太教授の研究では、
Child Behavior Checklist(CBCL)という幼児期から思春期にいたる子どもの情緒や行動を包括的に評価するテスト方法を用いて、8週間の読み聞かせをしてもらった前後で、子どもの内向きの問題、つまり、子どもの不安や抑うつなどの問題が減っている**ことが分かりました。

**最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる (青春新書インテリジェンス)

読み聞かせの効果(大人)に関する研究

読み聞かせによる効果は子供向けだけではありません。

ストレスが低下する

川島隆太教授監修の『最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる』の中で、8週間の子供向けの読み聞かせの調査を実施した母親のストレスを計測したところ、
8週間の実験前と実験後では読み聞かせ実験後の方がストレスレベルが低下し、かつ、読み聞かせ時間が長さとストレスレベルに相関があり、長い時間読み聞かせをする母親ほどストレスが低下したことが分かりました。

音読により脳が活性化する

川島隆太教授監修の『最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる』の中で、読み聞かせをする母親の脳の活動を調べたところ、コミュニケーションを司る前頭葉の中心部が活発に働いていることが分かりました。音読は黙読と比較して言語理解や聴覚に関わる様々な部分が活発になると指摘しています。

まとめ

読み聞かせによって、

・語彙能力や国語・算数などの認知能力の向上に加え、主体的行動力、聞く力など様々な非認知能力が向上する

・能力だけではなく、ストレスを緩和させ情緒的に落ち着き問題行動を減らすことにも役立つ

幼少期の読み聞かせによって、読書を楽しいと感じ習慣づけていくことが大事である

読み手にとっても、ストレス緩和や認知能力の向上に役立つといったメリットがある