【米国MBAの学びを含む読書メモ】The Goal(ザ・ゴール)

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会社で「ザ・ゴール」をオススメされたけど、どんな本なんだろう?

ぺんまま
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こんにちは。ぺんままです。

今日は米国MBAでも取り上げられ、世界中のビジネスマンに読み続けられている名著を紹介します。



本の概要

・組織全体としての業績を上げるためには、組織全体を俯瞰して「ボトルネック」を特定し、ボトルネックを基準にして全体最適化をすることが重要である。

・ボトルネックを基準に最適化するとともに、ボトルネックのパフォーマンスを上げて非ボトルネックに改善していくことで組織全体の成果が高まる。

・ボトルネックを特定するためには、プロセスの「つながり」と、成果の「ばらつき」が存在することを認識しておくことが大切である。

この本は、Amazon創設者のジェフ・ベゾスをはじめとする世界中のリーダー・マネージャー、日本でも各界の著名人が読んでいる名著です。

ちなみに、ぺんままの会社では新入社員へのおすすめ図書の一つとして紹介されていました。

ぺんままの通っているアメリカの大学院の授業では課題図書となっており、この本の学びをまとめて発表する課題がありました。

また、私の知り合いである日本のMBAの卒業生もこの本を使われたようでした。

ビジネスマンであればぜひとも読んでいただきたい一冊です。

この本は、工場の閉鎖を言い渡された主人公を舞台に物語調で話が進み、所々に考え方としての大事な要素が盛り込まれている形で進んでいきます。
そのため、ただの「教科書」より話がすっと脳に入ってくるため大変読みやすいです。

もとの文字の本とコミック版では、話の流れは同じですが登場人物の名前が異なっていたりするため、グローバルスタンダードとしてもし他国の人と話を合わせたいのであれば、コミック本は読んでも読まなくてもいいとは思いますが、文字の本を読むことをお勧めします。(またはコミック版を読んで英語版の方を読むなど)

ポイント

この本の中の学習要素はこちらです。

企業のゴールと重要な構成要素
・Throughput スループット
・Inventory/Investment 在庫/投資
・Operational expenses 業務費用

Theory of Constraints (TOC) 「制約理論」
balance 全体最適化
・bottlenecks & non-bottlenecksボトルネックと非ボトルネック
・dependent events & statistical fluctuations つながりとばらつき

以下で要素を一つ一つ見ていきます。

企業のゴールと重要な構成要素

この本の中では企業のゴールは以下のように定義されています。

To make money by increasing net profit, while simultaneously increasing return on investment, and simultaneously increasing cash flow

純利益、 投資収益率、キャッシュフロー、この三つを同時に増やすことによってお金を儲ける。

ぺんままとしてはこの考え方は少し古いのではないかなと思っています(この本自体が1984年に発行されたものなので、実際に古いのですが)。
現代では、ESG(Environmental, Social, and Governance)の側面を大事にする傾向を強く感じています。儲かるため、ではなく、環境や社会や人のために会社が存在していると考える企業が多いのではないでしょうか。

ただ、おそらくこの本で伝えたいことは、財務的には儲からないと存続できないので財務的側面だけに焦点を置いて考えているのだと思います。

この本ではゴールに対して3つのKPIを用いて企業状況を考えるようになっています。

一般的に「スループット会計」と言われたりもします。

構成要素は3つです。

            ・Throughput スループット

            ・Inventory/Investment 在庫/投資

            ・Operational expenses 業務費用

Throughput スループット: 顧客への販売を通じて得るお金

Inventory/Investment 在庫/投資: スループットを作り出すために購入・投資したお金・もの(本の中では単に「Inventory 在庫」とされていますが、ラリアット博士はのちに「Investment 投資」という考えも加えたようです。

Operational expenses 業務費用: 在庫/投資をスループットにするために必要なお金

つまり、前述のゴールは3つの構成要素を用いて下記のように記すことができます。

net profit = Throughput – Operational expenses

return on investment = (Throughput – Operational expenses) / Inventory

cash flow = Throughput – Operational expenses  + or – change in Inventory

Theory of Constraints (TOC)「制約理論」

balance 全体最適化

全体的な考え方として、市場の需要と会社の供給のバランスを合わせようということを第一前提として考えています。

市場の需要=会社の供給のバランス

市場の需要>会社の供給の場合は会社としてもっと売れるにも拘わらず、販売機会を逃していることになります。

逆に、市場の需要<会社の供給の場合、在庫が社内に溜まって保管コストがかさんでしまいます。

そのため、需要と共有を合わせることが必要だというのが制約理論の根本になっています。

bottlenecks & non-bottlenecksボトルネックと非ボトルネック

本の中でボトルネックと非ボトルネックとは下記のように定義されています。

ボトルネック とは、その処理能力が、与えられている仕事量と同じか、それ以下のリソース

非ボトルネックは、逆に与えられている仕事量よりも処理能力が大きいリソース

なにか製品やサービスを作り上げる時、作業手順が存在しますね。例えば料理で言うなら、

「カレー」という製品を作り出すためには、①野菜を洗う②野菜を適当な大きさに切る③肉を炒める、、、といった手順(レシピ)がありますね。

ではカレーを作るために時間がかかっている要素として、何か全体の作業時間の制約になっているのかを考えます。

制約の考え方は人数や人の能力、生産性、時間などいろいろな観点がありますが、一番簡単な例は時間だと思いますので、下記で時間を例にとって考えます。

例えば、「煮込む」という作業が作業手順の中で一番大きな割合を占めているとします。

そうするとどんなに前工程や後工程の一部の作業手順(例えば「野菜を切る」)ということの生産性を改善しても、野菜を煮込む時間は変化しないため、「煮込む」作業工程は「ボトルネック」だととらえます。

このボトルネックの生産性を会社の供給量として、市場の需要とあうように計算するということがTOCの考え方です。

また、カレーの生産性を上げるのであれば、ボトルネックを非ボトルネックにするためのアプローチが必要になります。

例えば、煮込む時間を短くするために圧力鍋を使うというアプローチがありますね。

dependent events & statistical fluctuations つながりとばらつき

制約理論を考えるうえで重要なのが“dependent events“つながり”statistical fluctuations“ばらつきです。

dependent eventsつながりというのは、並行できない作業のつながりのことです。

例えば、「カレーライス」を考えたときに、「カレー」をつくる作業と「ご飯を炊く」という作業は並行して行うことができますが、「ご飯にカレーを盛り合わせる」という作業をしたい場合、「カレー」と「ライス」の両方が揃った状態にならないと作業をすることができないですね。

このように作業にはつながりがあるので、どんなに一つの行程が効率化しても全体のつながりを考慮する必要があります。

statistical fluctuationsばらつきとは、正確によめない時間のことです。

例えば、野菜を炒める時間というのは経験則からなんとなく時間を見通すことはできると思います。しかし、ちょっとした火力の違いや野菜の大きさの差、野菜の水分量(新鮮さ)などの状態などにより、正確に時間を見通すことは難しいですよね。

このように、作業は一定に進めることができないことがあることを考慮する必要があります。

まとめ

ぺんままとしては会計的な考え方自体はさておき、TOCの考えは製品ではなくても日常の業務の中でもかなり応用が利くと考えています。
今回は料理の例を使って考えましたが、工場に限らず、会社の日常業務のなかでも何が「ボトルネック」となっているのか、どうすればボトルネックが非ボトルネックになるか/近づけるか、という視点をもって、最終的な生産性を上げていけるような視点を持つことが大事だと思います。

・組織全体としての業績を上げるためには、組織全体を俯瞰して「ボトルネック」を特定し、ボトルネックを基準にして全体最適化をすることが重要である。

・ボトルネックを基準に最適化するとともに、ボトルネックのパフォーマンスを上げて非ボトルネックに改善していくことで組織全体の成果が高まる。

・ボトルネックを特定するためには、プロセスの「つながり」と、成果の「ばらつき」が存在することを認識しておくことが大切である。

世界中のビジネスマンが読んでいる名著です。ビジネスの中での話のネタにもつながると思います。
ぜひご一読ください。