【米国MBAの学び】Intergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)

学び
悩む人
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自分とは異なるバックグラウンドやアイデンティティーのことをどうしたらもっと理解することができるのだろう?

悩む人
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人によって態度を変えている人がいる気がする。なぜそのように振る舞うのだろう?

ぺんまま
ぺんまま

こんにちは。ぺんままです。

今日は米国MBAでも取り上げられた、Diversity & Inclusionを考えるうえでとても大切なIntergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)をご紹介します。

誰しもが持ちうる「思い込み」

皆さんは、「血液型がA型の人は、まじめだ」「めがねをかけている人は、視力が悪い」ということを

でも血液型がA型の人と沢山会って話してみると、あれ、思っていた「A型の人」とイメージと違うな、と気が付いたり、
めがねをかけている人でも、視力に関係なくおしゃれやブルーライトカットのためにかけている人もいると気が付いたり、
といった、ご経験はないでしょうか?

実際、血液型診断というのは、科学的な根拠がないので、単にステレオタイプなのです。

このように、特定のバックグラウンドやアイデンティティーの方に対して、「○○な人は、XXだ」というイメージを持っていたが、それらの人と関りがあることによって自分の理解が誤っていることに気づいて相手をより理解できた経験がある方もいらっしゃるのではないかと思います。

人間は、これまでの経験をもとに相手のことを認識してしまいます。人間がどのように相手のアイデンティティから情報を読み取っているかということが、アメリカの漫画家であるGarry Trudeauが書いた”Street Calculus”という絵でよく描写されていますので、ご参照ください。

しかしながら、このように経験をもとに判断をしてしまうと、誤った判断をしてしまうことにもつながり、時には他の人の生き方に大きな影響を与えてしまうことがあります。

例えば、「これまでの女性社員は出産を機に退職していたから、Aさんが妊娠したらしいがきっと退職するんだろう。いつ退職するのか聞いておこう。」「これまで男性は育児休職をとったことがない。だからBさんは今度子供が生まれるらしいが、彼は育児休職をとるはずがない。次の仕事をBさんにお願いしておこう。」このように、AさんやBさんがどう思っているかに関係なく、思い込み・偏見で判断をしてしまうと、本人のキャリアや人生の方向性を変えてしまうかもしれません。

偏見や集団間の対立を減らすことに役立つIntergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)

では、そのような偏見をできる限り減らしていくにはどうしたらいいのでしょうか?

アメリカの心理学者であるGordon Allport(ゴードン・オールポート)は1954年に異なる集団の間での接触は、偏見や集団間の対立を減らすことに役立つという理論を提唱しました。*この理論はIntergroup contact hypothesisIntergroup contact theoryと呼ばれています。日本語では「接触仮説」または「集団間接触理論」と呼ばれているようです。

*参照:”Intergroup Contact Theory: Past, Present, and Future

Allportは、接触が偏見や集団間の対立を減らすことにポジティブに働く条件として、4つの重要な条件を上げました。

・Equal status:接触するもの同士は平等な関係であること
例えば、「上司と部下」という上下関係がないこと

・Cooperation:接触するもの同士が協力しあう環境であること
例えば、地域のコミュニティの人同士

・Common Goals:接触するもの同士がお互いに信頼しながら一緒の目標に向かっている状態であること
例えば、一つのスポーツクラブのメンバー同士が、「優勝する」という一つの目標に向かっている状態

・Support by social and institutional authorities:明示的または非明示的な制度上の接触に対して制裁を下すような制度がなく、むしろポジティブな接触をサポートする制度や組織があること
例えば、アパルトヘイトのような制度がなく、人権団体や組合などの組織があること。

1954年のAllportの仮説から、多くの学者が研究を続け、さらに詳しい条件や効果を発見していきました。

ぺんままがとりわけ、コロナ禍で直接的な人との接触が減っている現代において大切だと感じた発見が2つあります。

接触は間接的でもよい

接触は、直接的(Face-to-face)でなくてもよく、間接的であってもよい、という発見です。間接的な接触とは、例えばテレビやSNSなどのメディアで見聞きする、人から話を聞く、本を読む、というものです。

Allportの4つの条件がなくてもいい

接触が間接的だと、どうやってAllportの4つの条件を満たすことができるのだろう、と思うのですが、
4つの条件に当てはまらなくても効果があるということが発見されています。
もちろんAllportの4つの条件に当てはまれば効果が高いですが、単に直接的/間接的に接触が増えるだけでも効果があるというのです。

つまり、「○○な人は、XXだ」という偏見を減らしていくためには「○○な人」という集団の人と直接的でも間接的でもいいので、相手の情報を意識的に取り入れていくことで、「○○な人」に対しての偏見が少なくなり、親近感を持って、お互いをよりよく理解しあうことができる、ということのようです。

関連するバイアス

Intergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)では、接触が偏見や集団間の対立を減らすことに効果があるということではありましたが、類似していると感じた2つのバイアスも合わせてご紹介します。

Mere exposure effect(単純接触効果)

単純接触効果とは、最初は興味を持っていなくても、何度も接触を繰り返していくことによって、相手に対しての肯定的な感情・好意が増えていく現象のことです。*
*参考:情報を正しく選択するための認知バイアス事典思い込みで誤った情報を選択しないための必須教養 認知バイアス見るだけノート

例えば、「CMで何度も同じフレーズを聞いていると、最初は特に興味を持っていなくても、次第にそのフレーズが頭に残り、そのブランドになんとなく好意が湧いてくる。」「選挙の立候補者Aさんが毎日最寄りの駅であいさつしてくれる。最初はとくに興味はなかったが、なんとなくAさんに対しては肯定的な感情が芽生えて選挙で投票したいなと思う。」といった現象です。

ぺんままがIntergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)とmere exposure effect(単純接触効果)の違いとして感じたのは、Mere exposure effect(単純接触効果)は単なる接触であることに対して、Intergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)は相手の中身を知るためのより深い接触が必要である、という点です。

一方でIntergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)とMere exposure effect(単純接触効果)はどちらも、自分とは異なるバックグラウンドやアイデンティティーの人に対しての対立を減らし、肯定的な感情が生まれることにつながる点で類似していると思いました。

Ingroup bias(内集団バイアス)

Ingroup bias(内集団バイアス)とは、
自分が所属している集団(Ingroup/In-group 内集団)・その内集団に所属しているメンバーは、
自分が所属していない集団(Outgroup/Out-group 外集団)・その外集団に所属しているメンバーに比べて、好意的に評価をしてひいき/差別的な行為をしてしまう現象
です。*
*参考:情報を正しく選択するための認知バイアス事典思い込みで誤った情報を選択しないための必須教養 認知バイアス見るだけノート

例えば、「うちの犬は、他の家の犬よりもかわいいから、特別かわいがる。」「オリンピックを見ていて、日本人は日本人選手を応援する。」というようなことです、

Intergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)でも、Ingroup(内集団)とOutgroup(外集団)という概念が出てきました。Intergroup contact hypothesis/Intergroup contact theory(接触仮説/集団間接触理論)では、Outgroup(外集団)の人との接触を増やすことで生まれる効果ですが、内集団バイアスによる影響を受けているのではないかと考えました。

接触仮説/集団間接触理論を受けて、自身・周りの行動を変えていくためには

接触仮説/集団間接触理論を生活に取り入れると、
例えば「女性社員はXXだ」と決めつける前に、自社の女性社員に対して意識調査を行ってみたり、世間一般の情報を集めてみたりする、といったように、
特定のバックグラウンドやアイデンティティーの方に対して「○○な人は、XXだ」という思い込みが本当に正しいかどうか疑い、相手のことをよく理解するための行動をとることができると思います。

ただ、まずはこれまでの「常識」を疑う姿勢がないと難しいことかもしれません。
まずは、偏見というものが誰にでも起こりうるということをを認識し、偏見を防ぐためにはどうしたらいいかを一度考えてみると、周りの人にとって過ごしやすい環境をつくることができるのでは、と思います。

「常識」を疑ってみるためには、まずはどのような偏見があるのかを知ることが大事だと思います。
網羅的な情報を得るために本などを一読してみることをお勧めします。

こちらは、バイアスがどのように発生するかだけでなく、どうしたら防ぐことができるかを具体的に説明して区ているため、実践していくにあたってとても役に立ちます。



こちらはバイアスの種類を図解で説明してくれているので、とても分かりやすく読めます。



こちらはビジネスにおける実例を挙げながら説明されている点がとても納得感があります。どのようにバイアスを防げばよいのかのテクニックについても、具体的にリーダーとしてどう声をかけたかなどリアルな情報が多いです。

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こちらはもう少し学術的な細かい情報が載っており詳しく理解したい方向けです。

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