英語論文やレポートでジェンダー(性別)にとらわれない代名詞を使用したい
ジェンダーレス/ジェンダーニュートラル・ノンバイナリーな人称代名詞は一般的に様々な種類があるが、英語論文やレポートなどの学術的な文章ではどの代名詞をつかったらいいのだろう?
こんにちは。ぺんままです。
今日は英語論文やレポートを執筆するときに使用できジェンダーレス/ジェンダーニュートラル・ノンバイナリーな代名詞をを紹介します。
今日では、論文やレポートの中でHe/Sheと言った性別によって決まっている人称代名詞だけでなく、ジェンダーレス/ジェンダーニュートラル、またはノンバイナリーな人称代名詞を使用したい場合が増えてきたのではないでしょうか。
ぺんままもDEI(Diversity Equity &Inclusion、ダイバーシティ・エクイティ・アンド・インクルージョン)を考える上でジェンダーレス/ジェンダーニュートラル、またはノンバイナリーな人称代名詞を使用したく、確認をしたため、こちらの記事で共有したいと思います。
英語論文(APA style)全般についてはこちらをご参照ください。
一般的なジェンダーレス/ジェンダーニュートラル・ノンバイナリーな人称代名詞とは
The University of Wisconsin-Milwaukee LGBTQ+ Resource Centerによるとhe/sheではなく、zie, sie, ey, ve, tey, e, ae, fae, per, xe, zeなど様々な代名詞が一般的に使用されているようです。
それぞれの主格・所有格・目的格・所有代名詞・再帰代名詞はこちらです。
しかしながら、通称が論文やレポートの中でそのまま使えるとは限りません。APAやMLAなどのstyle guideが指定されている場合は特に注意が必要です。
世間で広く認められた単数形の”they”
アメリカ英語辞典の権威であるMerriam-Webster’s Dictionaryにおいて、theyは以下のように定義されています。
1. those ones : those people, animals, or things
https://www.merriam-webster.com/dictionary/they
2. used to refer to people in a general way or to a group of people who are not specified
3a. used with a singular indefinite pronoun antecedent
3b. used with a singular antecedent to refer to an unknown or unspecified person
3c. used to refer to a single person whose gender is intentionally not revealed
3d. used to refer to a single person whose gender identity is nonbinary
つまり、“they”は一般的にジェンダーレス/ジェンダーニュートラル・ノンバイナリーな使用が受け入れられているとも取れます。
多くのstyle guideで取り入れられた単数形の”they”
現在、多くのstyle guide(学術的な書き物に関する書き方のルール)では以下の2つの場合に単数形の”they”を使うことを支持/認めています。
when referring to a generic person whose gender is unknown or irrelevant to the context
https://apastyle.apa.org/blog/singular-they
→性別が分からないまたは文脈的に性別が関係ない、一般的な人を示したい場合
when referring to a specific, known person who uses “they” as their pronoun.
https://apastyle.apa.org/blog/singular-they
→”they”を使うことが適当である、特定の人を示したい場合
上記の引用はAPAのものですが、MLAやChicagoも”Gereric”と”Specific”という2つの考え方でほぼ同様の定義です。
単数形の”they”の用法
単数形の”they”の用法 – 動詞
単数形でtheyを使う場合、動詞は複数形(they are/ they do)を使用します。(参考:Scribbr、Merriam-Webster)
単数形(they is/ they does)ではないということに注意が必要です。
”you”は単数でも複数でも動詞は複数形(You are/You do)となることと同様ですね。
対象が1人であっても複数であっても動詞は左右されません。
単数形の”they”の用法 – 再帰代名詞
“you”も再帰代名詞は単数の場合は”yourself”複数の場合は”yourselves”と分かれていますが、
“they”の場合はどうしたらいいのでしょうか?”themself”でしょうか?”themselves”でしょうか?
実は、まだ全体としては定義が曖昧な状態です。
Merriam-Webster’s Dictionaryにおいては、”themself”は”nonstandard”と位置づけをしており、以下のように記載してあります。
: THEMSELVES —now used chiefly in place of “himself or herself” as a gender-neutral reflexive form of they when the reference is to a single person (as in “each person can decide for themself”)
https://www.merriam-webster.com/dictionary/themself
一方、APAでは”themself”でしょうか?”themselves”でも受け入れられるという考えを示しています。
Both “themselves” and “themself” are acceptable as reflexive singular pronouns; however, “themselves” is currently the more common usage.
https://apastyle.apa.org/style-grammar-guidelines/grammar/singular-they
ChicagoでもAPAと同様の考え方のようです。
Here’s the exact guidance from the page proofs of the 17th edition of the Chicago Manual of Style, section 5.48:
Themself (like yourself) may be used to signal the singular antecedent (though some people will prefer themselves) {they blamed themself [or themselves]}.
https://www.quickanddirtytips.com/articles/themself-or-themselves/
しかし、MLAではいまだ”themself”については記載がないようです。
結論としては、style guideによって”themself”を使ってよいかの見方は異なりますが、
対象が単数であっても”themselves”を使う方が無難であるようです。
”he or she”, “he/she”, “(s)he”, “s/he”などはどうなのか?
”he or she”, “he/she”, “(s)he”, “s/he”など、heとsheを合わせた書き方もありますが、
英語論文やレポートでは書き手は常にシンプルで分かりやすい書き方をすることを求めているため、
これらは基本的に推奨されていません。(参考:APA website、Chicago University、Scribbr)
もし、一般的な人をheかsheのどちらかに特定をすることが適切だけれども何らかの理由で分からない場合に限り、“he or she” and “she or he”という表現をすることはよいとされています。(APA websiteより)
まとめ
英語論文・レポートの執筆において、性別が分からないまたは文脈的に性別が関係ないジェンダーレス/ジェンダーニュートラルな一般的な人を示したい場合、または性別を特定しない/ノンバイナリーな代名詞を使うことがが適当である特定の人を示したい場合においては、単数形の”they”を使用するができる。
対象とする”they”が単数であっても、動詞や再帰代名詞の用法は三人称複数の代名詞”they”と同様の使い方をする。